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科学の不思議(21/30)

(842字。目安の読了時間:2分)

さうして此の蟻共は、そのはちきれさうなお腹が空になるまでわけてやるのだ。
乳搾りの蟻はそれから又お腹を一杯にしに戻つて行く。
『で、お前達は、自分で食べ物の処までゆけない労働者の蟻共が口一ぱいに食べ物をつめ込むのには、一匹の乳搾りからのでは十分でない事が想像出来るね。
それは沢山の乳搾りが要る。
そしてまだ、地面の下の暖い寝所にも腹のへつてゐる蟻がうんとゐるのだ。
それは若い蟻で、家族や町の大事なものなのだ。
私はお前達に、その蟻も他の昆虫と同じやうに、鳥の卵のやうな卵から孵(かえ)るのだと云ふ事をお話ししなければならないね。』
『いつだか』とエミルが口を入れました。
『僕ね、石をおこして見たら、小さい白い粒がどつさりあつて、それを蟻がいそいで地の下に運んでゆきましたよ。』
『その白い粒が卵だ。』とポオル叔父さんが云ひました。
『その卵を蟻共は地面の下の方の其の住居から持つて上つて来て、石の下で太陽の熱にその卵をあてゝ孵させるのだ。
だから、その石が持ちあげられた時には卵にあやまちのないやうに、安全な場所に持つてゆかうとしてあはてゝ降りてゆくのだ。
『卵から出て来るのは、お前達の知つてゐる蟻の形をしてはゐない。
それは白い小さな蛆虫で、足もないし、全くよはよはしい動く事も出来ない位だ。
蟻塚の中には此の小さな蛆虫が何十とゐるのだ。
蟻はちつとも休みなしに、そのどれにもこれにも一と口づつ食べ物をわけてやるのだ。
そして、それが育つて行つて、何日か蟻になるのだ。
其処で一つ、その寝所に一ぱいになつてゐる小さい虫を一匹育てるのに、一体どれだけの木虱をしぼり、どれだけの蟻が働かなければならないか考へて御覧。』
六 悧巧な坊さん
『大きいんだの小さいんだの蟻塚が方々にありますよ。』とジユウルが云ひました。
『庭の中でだつて僕は一ダアス位数へる事が出来たんだもの。
一つのからなんか蟻が出て来ると道が真黒な位どつさりゐましたよ。

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