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断腸亭日乗(23/30)

(667字。目安の読了時間:2分)

門前何とはなく人の徃来繁し。
猶病床に在り。
書を松莚子に寄す。
月明前夜の如し。
十一月十七日。
雨ふる。
午前五来素川氏来訪せらる。
雑誌大観に寄稿せよとのことなり。
午後より座右のものを取片づけ居宅引払の凖備をなす。
夕刻唖※湖山の二子来る。
唖※子湖山子の周旋にて毎夕新聞社に入りしといふ。
花月はいよ/\十二月かぎりにて廃刊と決す。
十一月十八日。
早朝より竹田屋の主人来り、兼て凖備せし蔵書の一部と画幅とを運去る。
午後数寄屋橋歯科医高島氏を訪ひ、梅吉方に赴き、十二月納会にまた/\出席の事を約す。
明烏下の段をさらふ。
此日晴れて暖なり。
十一月廿日。
本年秋晩より雨多かりし故紅葉美ならず、菊花も亦香気なし。
されど此日たま/\快晴の天気に遇ひ、独り間庭を逍遥すれば、一木一草愛着の情を牽かざるはなし。
行きつ戻りつ薄暮に至る。
十一月廿一日。
午前薗八※[#「くさかんむり/即」、U+83AD、45-6]けいこに行く。
この日欧洲戦争平定の祝日なりとて、市中甚雑※せり。
日比谷公園外にて浅葱色の仕事着きたる職工幾組とも知れず、隊をなし練り行くを見る。
労働問題既に切迫し来れるの感甚切なり。
過去を顧るに、明治三十年頃東京奠都祭当日の賑の如き、又近年韓国合併祝賀祭の如き、未深く吾国下層社会の生活の変化せし事を推量せしめざりしが、此日日比谷丸の内辺雑※の光景は、以前の時代と異り、人をして一種痛切なる感慨を催さしむ。
夜竹田書店主人来談。

十一月廿二日。

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