【ブンゴウメール】断食芸人 (25/31)
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動物小屋の臭気の発散、夜間における動物たちのざわめき、猛獣たちにやるため眼の前を運ばれていく生肉、餌をやるときのけものの叫び声、こうしたものが芸人をひどく傷つけ、たえず彼の心を押しつけるということは別としても、サーカスの連中は芸人をこんなに動物小屋の近くに置くことによって、場所の選択をあまりに手軽にやってしまったのだ。
しかし、サーカスの幹部にその事情をよく説明するということは、芸人はあえてやろうとしなかった。
ともかく、動物たちのおかげで彼もこんなにたくさんの見物人をもっているわけだ。
その見物人のあいだには、ときどきはもっぱら彼を見ようという人も見出すことができるというものだ。
そして、もし彼が自分の存在を人びとに思い出させようとするなら、そしてそれによってまた自分が正確にいえばただ動物小屋へいく道の上にある障害にすぎないということを思い出させようとするなら、どこへ彼を押しこんでしまうものかわかったものではなかった。
とはいっても、小さな障害にすぎないのだ。
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