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【ブンゴウメール】赤い蝋燭と人魚 (9/11)

(662字。目安の読了時間:2分)

けれど、ただ青い青い海の上に月の光りが、はてしなく照らしているばかりでありました。

 娘は、また、坐って、蝋燭に絵を描いていました。

するとこの時、表の方が騒がしかったのです。

いつかの香具師が、いよいよその夜娘を連れに来たのです。

大きな鉄格子のはまった四角な箱を車に乗せて来ました。

その箱の中には、曾(かつ)て虎や、獅子や、豹などを入れたことがあるのです。

 このやさしい人魚も、やはり海の中の獣物だというので、虎や、獅子と同じように取扱おうとするのであります。

もし、この箱を娘が見たら、どんなに魂消たでありましょう。

 娘は、それとも知らずに、下を向いて絵を描いていました。

其処へ、お爺さんとお婆さんとが入って来て、

「さあ、お前は行くのだ」と、言って連れ出そうとしました。

 娘は、手に持っている蝋燭に、せき立てられるので絵を描くことが出来ずに、それをみんな赤く塗ってしまいました。

 娘は、赤い蝋燭を自分の悲しい思い出の記念に、二三本残して行ってしまったのです。

 ほんとうに穏かな晩でありました。

お爺さんとお婆さんは、戸を閉めて寝てしまいました。

 真夜中頃であります。

とん、とん、と誰か戸を叩く者がありました。

年よりのものですから耳敏く、その音を聞きつけて、誰だろうと思いました。

「どなた?」と、お婆さんは言いました。

 けれどもそれには答えがなく、つづけて、とん、とん、と戸を叩きました。

 お婆さんは起きて来て、戸を細目にあけて外を覗きました。

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