オツベルと象(8/10) - ブンゴウメール
ブンゴウメール
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「オツベルをやっつけよう」議長の象が高く叫ぶと、
「おう、でかけよう。グララアガア、グララアガア。」みんながいちどに呼応する。
さあ、もうみんな、嵐のように林の中をなきぬけて、グララアガア、グララアガア、野原の方へとんで行く。
どいつもみんなきちがいだ。
小さな木などは根こぎになり、藪や何かもめちゃめちゃだ。
グワア グワア グワア グワア、花火みたいに野原の中へ飛び出した。
それから、何の、走って、走って、とうとう向うの青くかすんだ野原のはてに、オツベルの邸の黄いろな屋根を見附けると、象はいちどに噴火した。
グララアガア、グララアガア。
その時はちょうど一時半、オツベルは皮の寝台の上でひるねのさかりで、烏の夢を見ていたもんだ。
あまり大きな音なので、オツベルの家の百姓どもが、門から少し外へ出て、小手をかざして向うを見た。
林のような象だろう。
汽車より早くやってくる。
さあ、まるっきり、血の気も失せてかけ込んで、
「旦那あ、象です。押し寄せやした。旦那あ、象です。」と声をかぎりに叫んだもんだ。
ところがオツベルはやっぱりえらい。
眼をぱっちりとあいたときは、もう何もかもわかっていた。
「おい、象のやつは小屋にいるのか。居る? 居る? 居るのか。よし、戸をしめろ。戸をしめるんだよ。早く象小屋の戸をしめるんだ。ようし、早く丸太を持って来い。とじこめちまえ、畜生めじたばたしやがるな、丸太をそこへしばりつけろ。何ができるもんか。わざと力を減らしてあるんだ。
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