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オツベルと象(9/10) - ブンゴウメール

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(635字。目安の読了時間:2分)

わざと力を減らしてあるんだ。ようし、もう五六本持って来い。さあ、大丈夫だ。大丈夫だとも。あわてるなったら。おい、みんな、こんどは門だ。門をしめろ。かんぬきをかえ。つっぱり。つっぱり。そうだ。おい、みんな心配するなったら。しっかりしろよ。」オツベルはもう支度ができて、ラッパみたいないい声で、百姓どもをはげました。

ところがどうして、百姓どもは気が気じゃない。

こんな主人に巻き添いなんぞ食いたくないから、みんなタオルやはんけちや、よごれたような白いようなものを、ぐるぐる腕に巻きつける。

降参をするしるしなのだ。

 オツベルはいよいよやっきとなって、そこらあたりをかけまわる。

オツベルの犬も気が立って、火のつくように吠えながら、やしきの中をはせまわる。

 間もなく地面はぐらぐらとゆられ、そこらはばしゃばしゃくらくなり、象はやしきをとりまいた。

グララアガア、グララアガア、その恐ろしいさわぎの中から、

「今助けるから安心しろよ。」やさしい声もきこえてくる。

「ありがとう。よく来てくれて、ほんとに僕はうれしいよ。」象小屋からも声がする。

さあ、そうすると、まわりの象は、一そうひどく、グララアガア、グララアガア、塀のまわりをぐるぐる走っているらしく、度々中から、怒ってふりまわす鼻も見える。

けれども塀はセメントで、中には鉄も入っているから、なかなか象もこわせない。

塀の中にはオツベルが、たった一人で叫んでいる。

百姓どもは眼もくらみ、そこらをうろうろするだけだ。

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