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よだかの星(7/9) - ブンゴウメール

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(634字。目安の読了時間:2分)

一本の若いすすきの葉から露がしたたったのでした。

もうすっかり夜になって、空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。

よだかはそらへ飛びあがりました。

今夜も山やけの火はまっかです。

よだかはその火のかすかな照りと、つめたいほしあかりの中をとびめぐりました。

それからもう一ぺん飛びめぐりました。

そして思い切って西のそらのあの美しいオリオンの星の方に、まっすぐに飛びながら叫びました。

「お星さん。西の青じろいお星さん。どうか私をあなたのところへ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。」

 オリオンは勇ましい歌をつづけながらよだかなどはてんで相手にしませんでした。

よだかは泣きそうになって、よろよろと落ちて、それからやっとふみとまって、もう一ぺんとびめぐりました。

それから、南の大犬座の方へまっすぐに飛びながら叫びました。

「お星さん。南の青いお星さん。どうか私をあなたの所へつれてって下さい。やけて死んでもかまいません。」

 大犬は青や紫や黄やうつくしくせわしくまたたきながら云いました。

「馬鹿を云うな。おまえなんか一体どんなものだい。たかが鳥じゃないか。おまえのはねでここまで来るには、億年兆年億兆年だ。」そしてまた別の方を向きました。

 よだかはがっかりして、よろよろ落ちて、それから又二へん飛びめぐりました。

それから又思い切って北の大熊星の方へまっすぐに飛びながら叫びました。

「北の青いお星さま、あなたの所へどうか私を連れてって下さい。」

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