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科学の不思議(6/30)

(852字。目安の読了時間:2分)

そんな時には、ジユウルは叔父さんにきりのない質問を繰り返します。
それは何故ですか? それはどう云ふんです?と云ふ風に。
叔父さんは、ジユウルの此の好奇心を正しく導いて行きさへすれば、きつといゝ結果をあげる事が出来るだらうといふので、大変に信用してゐます。
けれども叔父さんは、ジユウルに一つだけ嫌ひなところがあります。
正直に云ひますと、ジユウルは一寸した欠点を持つてゐます。
それは用心して防がなかつたら、大変な事になるものなのです。
ジユウルは癇癪(かんしゃく)持ちです。
若しジユウルに逆ふものがあれば、怒つて、眼をむいたり、泣いたりわめいたり、又自分の帽子を腹立たしさうに放り出したりします。
けれども、それは※(かせ)立つてゐるミルクスウプのやうなもので、少しすれば直ぐに静まります。
ポオル叔父さんは、ジユウルがいゝ心を持つてゐる事を知つてゐますから、此の悪い癖も軽い小言位で直すことが出来るだらうと思つてゐます。
 エミルは三人のうちで一番年下です。
そして暴れ坊主です。
けれどもそれは年から云へば無理はありません。
若し、誰れかの顔にベリイがなすりつけてあるとか、又額にコブが出来たとか、指にとげがさゝつたとかいふ事があれば、それはエミルのせいだと大抵察しがつきます。
ジユウルとクレエルが書物をどんなにか喜ぶやうに、エミルは自分のおもちや箱をのぞくのが何よりも楽しみです。
エミルは一体どんなおもちやを持つてゐるのでせう? 其処には、ブン/\唸る独楽や、赤や青の鉛でつくつた兵隊さんや、いろ/\な動物で一杯になつたノアの箱船や、ラツパ――これはあんまり騒々しい音を出しますから叔父さんから吹くのを禁められてゐます――や、そして此の名高い箱船の中には、エミル一人だけが知つてゐるいろんなものがはいつてゐます。
それから忘れないうちに云つておきますが、エミルはもうよく叔父さんにいろ/\な質問をします。
それだけ物事に注意をするやうになつて来たのです。

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