【ブンゴウメール】断食芸人 (7/31)
(412字。目安の読了時間:1分)
したがって、だれも自分自身の眼でながめたことから、ほんとうに引きつづきまちがいなしに断食が実行されたかどうか、知ることはできなかった。
ただ断食芸人自身だけがそれを知ることができた。
だから彼だけが同時に、自分の断食に完全に満足している見物人であることができるのだった。
だが、彼はまた別な理由からけっして満足していなかった。
おそらく彼は断食によっては人びとの多くが彼を見るにしのびないというのであわれみの気持からこの実演を敬遠しないでいられないほどもやせ衰えているのではなくて、ただ自分自身に対する不満足からそんなにもやせ衰えているのだった。
つまり、彼だけが、ほかの事情に明るい人も一人としてこのことを知らないのだが、断食がどんなにやさしいか、ということを知っていた。
それはこの世でいちばんやさしいことだった。
彼はそのことを秘密にしておいたわけではなかったが、人びとは彼のいうことを信じなかった。
==============================================
ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! http://bit.ly/2R2326H
■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv
■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp
■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404
■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/001235/files/49864_41927.html
■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail
==============================================
Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list:
*|UNSUB|*