【ブンゴウメール】断食芸人 (8/31)
(507字。目安の読了時間:2分)
彼はそのことを秘密にしておいたわけではなかったが、人びとは彼のいうことを信じなかった。
よくいってせいぜい人は彼のことを謙遜だと考えるのだが、たいていは宣伝屋だとか、インチキ師だとか考えるのだった。
このインチキ師は、断食をやさしくすることを心得ているために断食はやさしいというわけだし、また厚かましくもそれを半ば白状さえするのだ、というわけだ。
こうしたすべてを彼は甘受しなければならなかった。
長い年月のあいだにはそんなことに慣れたけれども、心のうちではこの不満がいつも彼をむしばんでいた。
そして、まだ一度でも、断食期間が終ったあとで――その証明書が彼に交付されることになっていたが――みずから進んで檻を離れたことはなかった。
断食の最大期間を興行主は四十日間ときめていて、それ以上は一度も断食させなかったし、大都会でもさせなかった。
しかももっともな理由からだった。
およそ四十日ぐらいのあいだは、経験からいうとだんだんと高まっていく宣伝によって一つの町の関心をいよいよそそることができたが、それからは観衆も受けつけなくなり、客の数がぐんと減るということがはっきりみとめられるのだった。
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