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僕の孤独癖について(4/8) - ブンゴウメール

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(667字。目安の読了時間:2分)

人と人との交際といふことは、所詮相互の自己抑制と、利害の妥協関係の上に成立する。

ところで僕のやうな我がまま者には、自己を抑制することが出来ない上に、利害交換の妥協といふことが嫌ひなので、結局ひとりで孤独に居る外はないのである。

ショーペンハウエルの哲学は、この点でよく僕等の心理を捉へ、孤独者の為に慰安の言葉を話してくれる。

ショーペンハウエルの説によれば、詩人と、哲学者と、天才とは、孤独であるやうに宿命づけられて居るのであつて、且つそれ故にこそ、彼等が人間中での貴族であり、最高な種類に属するのださうである。

 しかし孤独で居るといふことは、何と言つても寂しく頼りないことである。

人間は元来社交動物に出来てるのだ。

人は孤独で居れば居るほど、夜毎に宴会の夢を見るやうになり、日毎に群集の中を歩きたくなる。

それ故に孤独者は、常に最も饒舌の著者である。

そして尚ボードレエルの言ふやうに、常に群集の中を徘徊してゐる人間は、この世に於て、常に最も孤独な寂しい人間なのである。

僕もまたそのやうに、都会の雑沓の中をうろついたり、反響もない読者を相手にして、用にも立たぬ独語などをしやべつて居る。

 町へ行くときも、酒を飲むときも、女と遊ぶときも、僕は常にただ一人である。

友人と一緒になる場合は、極く稀れに特別の例外でしかない。

多くの人は、仲間と一緒の方を楽しむらしい。

ただ僕だけが変人であり、一人の自由と気まま勝手を楽しむのである。

だがそれだけまた友が恋しく、稀れに懐かしい友人と逢つた時など、恋人のやうに嬉しく離れがたい。

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