黒猫(6/30)
(450字。目安の読了時間:1分)
けれども、兎や、猿や、あるいは犬でさえも、なにげなく、または私を慕って、そばへやって来ると、遠慮なしにいじめてやったものだったのだが、プルートォをいじめないでおくだけの心づかいはまだあった。
しかし私の病気はつのってきて――ああ、アルコールのような恐ろしい病気が他にあろうか! ――ついにはプルートォでさえ――いまでは年をとって、したがっていくらか怒りっぽくなっているプルートォでさえ、私の不機嫌のとばっちりをうけるようになった。
ある夜、町のそちこちにある自分の行きつけの酒場の一つからひどく酔っぱらって帰って来ると、その猫がなんだか私の前を避けたような気がした。
私は彼をひっとらえた。
そのとき彼は私の手荒さにびっくりして、歯で私の手にちょっとした傷をつけた。
と、たちまち悪魔のような憤怒が私にのりうつった。
私は我を忘れてしまった。
生来のやさしい魂はすぐに私の体から飛び去ったようであった。
そしてジン酒におだてられた悪鬼以上の憎悪が体のあらゆる筋肉をぶるぶる震わせた。
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しかし私の病気はつのってきて――ああ、アルコールのような恐ろしい病気が他にあろうか! ――ついにはプルートォでさえ――いまでは年をとって、したがっていくらか怒りっぽくなっているプルートォでさえ、私の不機嫌のとばっちりをうけるようになった。
ある夜、町のそちこちにある自分の行きつけの酒場の一つからひどく酔っぱらって帰って来ると、その猫がなんだか私の前を避けたような気がした。
私は彼をひっとらえた。
そのとき彼は私の手荒さにびっくりして、歯で私の手にちょっとした傷をつけた。
と、たちまち悪魔のような憤怒が私にのりうつった。
私は我を忘れてしまった。
生来のやさしい魂はすぐに私の体から飛び去ったようであった。
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