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断腸亭日乗(5/30)

(638字。目安の読了時間:2分)

二月十三日。
樹間始めて鶯語をきく。
福寿草花あり。
今村次七君金沢より出京、断膓亭を訪はれ浮世絵の事を談ぜらる。
二月十五日。
三田文学に書かでもの記を寄す。
二月廿四日。
新演藝過日市川左団次のために懸賞脚本の募集をなす。
此日選評者一同を東仲通鳥屋末広に招飲す。
余も選評者中の一人なれば招れて徃く。
帰途新福にて八重次唖々子と飲む。
二月二十五日。
梅花未開かざれど暖気四月の如し。
貝母の芽地中より現れ出でたり。
二月廿七日。
風再び寒し。
夜窗雨を聴きつゝ来青閣集をよむ。
二月廿八日。
昨夜深更より寒雨凍りて雪となる。
終日歇まず。
八ツ手松樹の枝雪に折れもやせむと庭に出で雪を払ふこと再三なり。
三月朔。
雪歇み空晴る。
築地に行く。
市街雪解け泥濘甚し。
夜臙脂を煮て原稿用罫紙を摺ること四五帖なり。
三月二日。
風あり。
春寒料峭たり。
終日炉辺に来青閣集を読む。
夜少婢お房を伴ひ物買ひにと四谷に徃く。
市ヶ谷谷町より津ノ守阪のあたり、貧しき町々も節句の菱餅菓子など灯をともして売る家多ければ日頃に似ず明く賑かに見えたり。
貧しき裏町薄暗き横町に古雛または染色怪しげなる節句の菓子、春寒き夜に曝し出されたるさま何とも知れず哀れふかし。
三越楼上又は十軒店の雛市より風情は却て増りたり。
三月三日。
園梅漸開く。
腕くらべ印刷費壱千部にて凡金弐百六拾円。
此日東洋印刷会社へ支払ふ。

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