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科学の不思議(30/30)

(606字。目安の読了時間:2分)

 放つておけば、一寸の間に世界中に蔓(ひろが)るかもしれない此の木虱を、あの金色の眼の蜻蛉や、小さい瓢虫や、いろんな雛鳥が食ひ尽してしまへようか。
『かうしていろんなガツ/\者共が食べ荒らすにも拘はらず、木虱は猶人間を真面目に驚かせる程ゐる。
翼のある木虱が、日光を隠してしまふ程のあつい群れになつて飛ぶのを見る事がある。
其の真黒な群れは、或る県から他の県までも行く。
そして果物の樹に降りてはそれを荒らす。
神様が人間を試みようとする時には、何んでゝも試みるものがあるのだ。
神様は此の高慢な人間に対して、生物の中の一番卑しいみすぼらしいものを送る。
目で見えない畑荒らしの此のかよわい木虱が来ると、人間はあはてふためいて了ふ。
人間は、いくら威張つてゐても、此の小さな虫をどうともする事も出来ないのだ。
『人間は強い、けれども、此の小さな活きものには叶(かな)はない。
その沢山の群に打ち勝つ事は出来ないのだ。』
 ポオル叔父さんの、蟻と其の牝牛の話は、これでおしまひになりました。
其後幾度もエミルとジユウルとクレエルは、木虱や鱈の莫大な家族について話しました。
けれども、その話はいつも百万とか、一億とか云ふ数で三人を途方にくれさせるのでした。
ポオル叔父さんは、自分の話がアムブロアジヌお婆あさんのお伽話よりも余程子供達の興味をひいたので、気持よささうにしてゐました。


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