【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (4/30)
(596字。目安の読了時間:2分)
肋骨のように、胸に黄色い筋のついた憲兵の服を着た父が、風琴を鳴らしながら「オイチニイ、オイチニイ」と坂になった町の方へ上って行った。
母は父の鳴らす風琴の音を聞くとうつむいてシュンと鼻をかんだ。
私は呆(ぼ)んやり油のついた掌を嘗(な)めていた。
「どら、鼻をこっちい、やってみい」
母は衿(えり)にかけていた手拭を小指の先きに巻いて、私の鼻の穴につっこんだ。
「ほら、こぎゃん、黒うなっとるが」
母の、手拭を巻いた小指の先きが、椎茸のように黒くなった。
町の上には小学校があった。
小麦臭い風が流れていた。
「こりゃ、まあ、景色のよかとこじゃ」
手拭でハタハタと髷(まげ)の上の薄い埃(ほこり)を払いながら、眼を細めて、母は海を見た。
私は蓮根の天麩羅を食うてしまって、雁木の上の露店で、プチプチ章魚の足を揚げている、揚物屋の婆さんの手元を見ていた。
「いやしかのう、この子は……腹がばりさけても知らんぞ」
「章魚の足が食いたかなア」
「何云いなはると! お父さんやおッ母さんが、こぎゃん貧乏しよるとが判らんとな!」
遠いところで、父の風琴が風に吹かれている。
「汽車へ乗ったら、またよかもの食わしてやるけに……」
「いんにゃ、章魚が食いたか!」
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