【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (14/30)
(582字。目安の読了時間:2分)
白か銭ばたくさん持っちょって、何も買うてやらんげに思うちょるが、宿屋も払うし、薬の問屋へも払うてしまえば、あの白か銭は、のうなってしまうがの、早よ寝て、早よ起きい、朝いなったら、白かまんまいっぱい食べさすッでなア」
座蒲団を二つに折って私の裾にさしあってはいると、父はこう云った。
私は、白かまんまと云う言葉を聞くと、ポロポロと涙があふれた。
「背丈が伸びる頃ちうて、あぎゃん食いたかものじゃろうかなア」
「早よウ、きまって飯が食えるようにならな、何か、よか仕事はなかじゃろか」
父も母も、裾に寝ている私が、泪(なみだ)を流していると云う事は知らぬ気であった。
「あれも、本ばよう読みよるで、どこかきまったりゃ、学校さあげてやりたか」
「明日、もう一日売れたりゃ、ここへ坐(すわ)ってもええが……」
「ここはええところじゃ、駅へ降りた時から、気持ちが、ほんまによかった。ここは何ちうてな?」
「尾の道よ、云うてみい」
「おのみち、か?」
「海も山も近い、ええところじゃ」
母は立って洋燈を消した。
6 この家の庭には、石榴の木が四五本あった。
その石榴の木の下に、大きい囲いの浅い井戸があった。
二階の縁の障子をあけると、その石榴の木と井戸が真下に見えた。
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