ブンゴウメール公式ブログ

青空文庫の作品を1ヶ月で読めるように毎日小分けでメール配信してくれるサービス「ブンゴウメール」のブログです

【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (14/30)

(582字。目安の読了時間:2分)  白か銭ばたくさん持っちょって、何も買うてやらんげに思うちょるが、宿屋も払うし、薬の問屋へも払うてしまえば、あの白か銭は、のうなってしまうがの、早よ寝て、早よ起きい、朝いなったら、白かまんまいっぱい食べさすッでなア」  座蒲団を二つに折って私の裾にさしあってはいると、父はこう云った。 私は、白かまんまと云う言葉を聞くと、ポロポロと涙があふれた。 「背丈が伸びる頃ちうて、あぎゃん食いたかものじゃろうかなア」 「早よウ、きまって飯が食えるようにならな、何か、よか仕事はなかじゃろか」  父も母も、裾に寝ている私が、泪(なみだ)を流していると云う事は知らぬ気であった。 「あれも、本ばよう読みよるで、どこかきまったりゃ、学校さあげてやりたか」 「明日、もう一日売れたりゃ、ここへ坐(すわ)ってもええが……」 「ここはええところじゃ、駅へ降りた時から、気持ちが、ほんまによかった。ここは何ちうてな?」 「尾の道よ、云うてみい」 「おのみち、か?」 「海も山も近い、ええところじゃ」  母は立って洋燈を消した。  6 この家の庭には、石榴の木が四五本あった。 その石榴の木の下に、大きい囲いの浅い井戸があった。 二階の縁の障子をあけると、その石榴の木と井戸が真下に見えた。 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://goo.gl/6ZxJiY ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/1814_24391.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail [PR] Facebookを使って、みんなに知られず婚活ができる神アプリ!毎月4000人以上に恋人ができている実績あり。まずは試してみて! ▼ ▽ ▼ https://goo.gl/kvdRBG ============================================== Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*