【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (23/30)
(543字。目安の読了時間:2分)
教員室には、二列になって、カナリヤの巣のような小さい本箱が並んでいた。
真中に火鉢があった。
そこに、父と校長が並んでいた。
父は、私の顔を見ると、いんぎんにおじぎをした。
だから、私も、おじぎをしなければならないのだろうと、丁寧に最敬礼をした。
校長は満足気であった。
「教室へ連れて行きましょう」
「ほんなら、私はこれで失礼いたします。何ともハヤ、よろしくお願い申し上げます」
父が門から去ると私は悲しくなった。
校長は背の高い人であった。
私はどこかの学校で覚えた、「七尺下って師の影を踏まず」と、云う言葉を思い出したので、遠くの方から、校長の後へついて行った。
「道草食わずと、早よウ歩かんか!」
校長は振り返って私を叱った。
窓の外のポンプ井戸の水溜りで、何かカロカロ……鳴いていた。
雨戸のような歪(ゆが)んだ扉を開けると、ワアンと子供達の息が私にかかった。
(女子六年 イ組)と、黒板の上に札が下っていた。
私は五年を半分飛ばして六年にあがる事が出来た。
ちょっと不安であった。
9 長い間雨が続いた。
私はだんだん学校へ行く事が厭(いや)になった。
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