【ブンゴウメール】断食芸人 (4/31)
(404字。目安の読了時間:1分)
それは、彼らの考えによれば断食芸人が何かひそかに同意してある品物から取り出すことができるはずのちょっとした飲食物をとるのを見逃がしてやっていい、というつもりらしかった。
こんな見張りたちほどに断食芸人に苦痛を与えるものはなかった。
この連中は彼を悲しませた。
断食をひどく困難にした。
ときどき彼は自分の衰弱をじっとこらえて、この連中がどんなに不当な嫌疑を自分にかけているのかということを示すため、こんな見張りがついているあいだじゅう、我慢できる限り歌を歌ってみせた。
しかし、それもほとんど役に立たなかった。
そうすると連中はただ、歌を歌っているあいだにもものが食べられるという器用さに感心するだけだった。
芸人にとっては、格子のすぐ前に坐り、ホールのぼんやりした夜間照明では満足しないで、興行主が自由に使うようにと渡した懐中電燈で自分を照らすような見張りたちのほうがずっと好ましかった。
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