【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (25/30)
(628字。目安の読了時間:2分)
学校へ行くと、見た事もない美しい花と、石版絵がたくさん見られて楽しみであったが、大勢の子供達は、いつまでたっても、私に対して、「新馬鹿大将」を止めなかった。
「もう学校さ行きとうはなか?」
「小学校だきゃ出とらんな、おッ母さんば見てみい、本も読めんけん、いつもかつも、眠っとろうがや」
「ほんでも、うるそうして……」
「何がうるさかと?」
「云わん!」
「云わんか?」
「云いとうはなか!」
刀で剪(き)りたくなるほど、雨が毎日毎日続いた。
階下のおばさんは、毎日昆布の中に辻占と山椒を入れて帯を結んでいた。
もう、黄いろいご飯も途絶え勝ちになった。
母は、階下のおばさんに荷札に針金を通す仕事を探してもらった。
父と母と競争すると母の方が針金を通すのは上手であった。
私は学校へ行くふりをして学校の裏の山へ行った。
ネルの着物を通して山肌がくんくん匂っている。
雨が降って来ると、風呂敷で頭をおおうて、松の幹に凭れて遊んだ。
天気のいい日であった。
山へ登って、萩(はぎ)の株の蔭(かげ)へ寝ころんでいたら、体操の先生のように髪を長くした男が、お梅さんと云う米屋の娘と遊んでいた。
恥ずかしい事だと思ったのか私は山を降りた。
真珠色に光った海の色が、チカチカ眼をさした。
父と母が、「大阪の方へ行ってみるか」と云う風な事をよく話しだした。
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