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【ブンゴウメール】風琴と魚の町 (28/30)

(574字。目安の読了時間:2分) 「早よう売らな腐る云いよった」 「そぎゃん、ひどかもん売ってもよかろか?」 「ハテ、良かろか、悪かろか、食えんもな、仕様がなかじゃなッか」  尾の道の町はずれに吉和と云う村があった。 帆布工場もあって、女工や、漁師の女達がたくさんいた。 父はよくそこへ出掛けて行った。  私は、こういうハイカラな商売は好きだと思った。 私は、赤い瓶を一ツ盗んで、はんど甕の横に隠しておいた。 「時勢が進むと、安うて、ハイカラなものが出来るもんかなア」  町中「一瓶つければ桜色」の唄が流行った。 化粧水は、持って出るたび、よく売れて行った。  その頃、籠の中へ、牛肉を入れて売って歩く婆さんが来た。 もうけがあるのであろう、母は気前よく、よくそれを買った。 蒟蒻(こんにゃく)を入れると、血のような色になって、「犬の肉ででもあっとじゃろ」と、三人とも安いのでよく、その赤い肉を食った。 「やっぱし、犬の肉でやんすで」  階下のおばさんは、買った肉を犬にくれたら、やっぱし食わなかったと、それが犬の肉である事を保証した。  雨がカラリと霽(は)れた日が来た。 ある日、山の学校から帰って来ると、母が、息を詰めて泣いていた。 「どぎゃん、したと?」 ============================================== ハッシュタグ「#ブンゴウメール」をつけて感想をつぶやこう! https://goo.gl/6ZxJiY ■Twitterでみんなの感想を見る:https://goo.gl/rgfoDv ■ブンゴウメール公式サイト:https://bungomail.notsobad.jp ■次に読みたい作品を教えてください!:http://blog.notsobad.jp/entry/2018/05/03/145404 ■青空文庫でこの作品を読む:https://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/1814_24391.html ■運営へのご支援はこちら: https://www.buymeacoffee.com/bungomail [PR] 新しいタブを開いたときに、美しい暦の言葉を表示してくれるシンプルなChrome拡張「Tab Sekki」 ▼ ▽ ▼ https://goo.gl/sjRzzX ============================================== Unsubscribe *|HTML:EMAIL|* from this list: *|UNSUB|*